
32年ぶりの円安(ドル高)になっているし、株価も大きく上がったり、下がったりしてる。
今後どうなるの?何に投資すればいいの?
今マーケットが最も注目しており、今後も当面注目され続けるキーワード。
「インフレ」
そうです。インフレです。
世界経済に最も影響を与える米国中央銀行(FRB)がインフレ率をみて金融政策を決めています。
FRBの金融政策によって株価、為替に多大な影響を与えます。
そのため、インフレ禍のFRBの金融政策を理解することが今後の投資リターンを高めることに直結しますので、今日はそれを理解するのに一番のおススメ書籍「伝説のFRB議長 ボルカー」のレビューをまとめます(レビューと言うよりこの本を通じて学んだことをまとめています)。
実は米国は1970年代にも今と同じようにインフレに苦しんだ時代がありました。
こちらの本は、その時の金融政策についてまとめられている本です。
経済の本なので、レビュー数は少ないですが、評価は驚異の★4.9です。
インフレ禍の金融政策について理解できる非常に貴重な本なので、この評価も納得です。
インフレ禍において投資する方には必見の本です。この本はたった数千円で何百倍のリターンが出るまじコスパの高い本です。

インフレ時代ということもあり、なんと現在新品は欠品中で中古のみの取り扱いになっています。中古も売り切れてしまうかもしれませんので、気になる方は在庫があるうちに購入しましょう。
こういうことが理解できます

- マーケットを予想するうえでFRBの金融政策めっちゃ大事!
- FRBはインフレを抑えるために金融政策をするぞ。
- けど、FRBといえどもインフレ抑制はめっちゃくちゃ難易度高い!
- だって、インフレ抑制しよう思い切ってQTや利上げするとマジで失業者が増えるもん。
- 失業者増えたら自分(FRB議長)を任命してくれた大統領に迷惑かけちゃうよ。
- なんで迷惑かけるかって?失業者増えたら選挙で不利じゃん!自分の金融政策のせいで命の恩人(自分を任命してくれた)である大統領がクビ(落選)になっちゃうんだよ?!それってやばくね?
- 自分をFRB議長に任命してくれた大統領にも恩義を感じているし、そもそも失業者って増えたら嫌じゃん?だからインフレが問題になってても失業率のことを気にすると思い切ったインフレ抑制策(QT、利上げ)はあまりやりたくないんだよね。
- そうやってジレンマを感じているうちにインフレ抑制策が後回しになってインフレ率が制御できなくなっちゃうんだよね。
- だからインフレ抑制するには、国民(失業者)や大統領に嫌われるかもしれないけど、米国の将来のために、思い切ったインフレ抑制策をしなきゃいけないんよ。
- あ~その判断ってマジ辛い。
- FRB議長としての矜持(きょうじ)を貫いてインフレ抑制策を実行できるFRB議長じゃないとインフレって抑制できないよ。マジで。
- だから簡単にインフレを抑制できると思ってはいけないし、実際1970年代に米国はインフレ抑制に失敗している。
- 今のパウエルFRB議長もきっとジレンマに悩んでるぞ。インフレ抑制失敗のストーリーも想定しておけ。
- 具体的には、株価下落を心配してキャッシュポジションだけにしてると、インフレ抑制に失敗して株価が上昇した場合、キャッシュの価値が減る。つまり資産の実質価値が減っちゃう。だから株式の割合を減らしてもいいけど、全部売却は後悔するかもしれないぞ。2、3割は株式に振り向けておけ。
もう少し詳しく見ていきます。
1970~1978年のFRB議長・バーンズはインフレ抑制に失敗

歴代のFRBもインフレ率と戦ってきました。
1970年代、米国はインフレに苦しみましたが、その時のFRBはインフレ抑制には失敗しています。
1970~1978年のFRB議長はバーンズ議長。
その8年間の平均インフレ率は6.5%と目標の2%を大きく超える水準であり、インフレ抑制に失敗しています。
バーンズ議長
「物価安定を取り戻そうとすれば、受け入れ難い水準の失業を生み出すことになり、議会(米国政府)の意思に反することになっただろう」と語っています。
そもそもの仕組みとしてはFRBは政府から独立していますが、FRB議長は大統領から任命されます。
そのため、FRB議長としても任命してもらった政府に恩義を感じることは当然であり、政府の意向も無視しきれないのです。
政府はもちろん失業者を増やしたくありません。なぜなら国民(失業者)から不満を持たれて選挙で負けてしまうからです。
つまり、FRBは政府の顔色も伺いながら金融政策を決めるのです。
そのため、インフレ環境下のFRBは「物価の安定」、「失業率」の両立というジレンマを抱えることになり、非常に難しい判断を迫られるのです。
まさにFRB議長として矜持(きょうじ)が試される時なのです。
1979年に就任した伝説のFRB議長と言われているボルカーはインフレ抑制に成功

インフレ抑制に失敗したバーンズ議長の後に就任したのが「ボルカー議長」です。
ボルカー議長は「インフレファイター」として世界に名が知られている伝説のFRB議長です。
2008年のリーマンショック後の金融危機に際しては、オバマ政権のアドバイザーとして金融機関の高リスク投資を制限する「ボルカー・ルール」の法制化に尽力した方としても有名ですね。
ボルカー議長は嫌われ役を引き受けて、時には大統領の選挙敗北に1役買ったような金融引締めを思い切って実行することで、インフレ抑制を成功させました。
そのボルカー議長の考えや発言は示唆に富んでいます。一例ですが、紹介させて頂きます。
・「インフレ抑制には経済状況をまったく考慮せずとまでは言えないけど、それぐらい強い信念がないと退治できない」
・「インフレと戦うと言うこの仕事を引き受けることは人々から支持してもらえるなどと期待しないほうがいい」
・「中央銀行は金融政策で失業率を改善できるのは一時的であり、インフレ予想がなりを潜めている間だけである」
・「政治は常に中央銀行に金融緩和を求める。しかし一度人々のインフレ心理に火がつけば、いずれインフレは誰の手にも負えない大火となる。そうなる前に火を消せるのは、政治から独立した中央銀行だけである。その際には規律ある財政という政府の支援と信念を持った中央銀行トップが不可欠」
・「公定歩合を上げるタイミングが(カーター)大統領選の真っ最中だったというのは不幸なめぐりあわせでした。あの利上げがカーター敗北に1役買ったのかもしれません。(中略)私の全キャリアの中でも、あれば最もつらいことの1つでした。カーターは私を任命してくれた人です」
伝説のFRB議長ボルカー
この思考・行動、発言からわかるように、インフレ抑制にはジレンマを感じながらとても難しい判断をしなければいけません。
現・FRB議長・パウエル氏は経済状況を無視したような思い切った金融引締めができるかは疑問

FRB議長のこれまでの言動を見ていると、ボルカー議長ほど強い信念をもって金融引締めができるかは正直わかりません。
そのため、FRBがインフレ抑制に失敗するストーリーも想定しておくことが大事です。
最近は住宅価格指数が下落したり、不景気が着実に近づいていますが、ここで金融引締めの手綱を緩めると、一時的には金利が低下しますが、その後インフレ率がさらに高まり政策金利が急騰する恐れがあります(むしろ私はこのストーリーがメインシナリオだと考えています)。
私は、当面はTMVで金利上昇時の利益を狙いながら、金利がある程度高くなってきたタイミングで米国債に切り替える方針です。
「伝説のFRB議長 ボルカー」は本当におススメです。
インフレをより深く理解するには紙幣論を学ぶことも大切です。
それにはこちらの本「マネーを生み出す怪物」がおススメです。
こちらの本も在庫が枯渇しているようで中古価格が急騰しており、15,000円を超えています。私のバイブルでもある本なので、高額なのでおススメするのに気が引けてしまいますが、本当におススメです。
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