最近、株式が割高と言うニュースやツイートをよく見ます。
そのため先日、株式の割高・割安を判断する代表的な指標であるPERについてツイートしたところ、
多くの反響をいただきました。「いいね」、「リツイート」いただいた方本当にありがとうございます。
少しは役に立てたのかなと思えて嬉しかったです。
今日はファンドマネージャーや外資系投資会社の方から教わった割高・割安の判断方法を説明するとともに、それをどう投資行動に反映させて運用成果(パフォーマンス)を高めていくかを記事にします。
記事の信頼性

1.割高・割安と判断した場合の投資行動
私は短期的な未来は予測できないと考える派です。
そのため、割高・割安いずれと判断しても極端な投資行動はとりません。
割高の場合
割高だと言われて全て売却してもそれ以上に株価が上に突き抜けることもあり、その場合機会損失になるからです。そのため、割高と考えらえる状況の場合は追加投資を控えてキャッシュポジションを増やしていく程度です。
割安の場合
割安と考えてもすべてのキャッシュを投資に振り向けることはしません。下落が下落を呼び下値を突き抜けることもあります。
追加投資できるキャッシュが手元にあれば、暴落はつらい反面、割安に買うチャンスでもあるため、下落を歓迎できるメンタルを維持できます。
しかし、すべてのキャッシュを突っ込んでから更に下落した場合、辛いだけになってしまいメンタルを保つのが難しくなってしまいます。
そのため、極端な投資行動はしないように心がけています。
2.PER
PERの意味
割高・割安を判断する代表的な指数の1つにPERというのがあります。
Googleで調べてみると以下のように説明されています。
PERとはPrice Earnings Ratioの略で、株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の
何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。
PERの数値は、低いほうが株価は割安と判断されます。

わかったようなわからないような・・・

そうですよね。私も最初はまったく理解できませんでした。

ここで少し、頭の体操をしようと思います。
50平米 3000万円(単価:60万円/平米)の部屋と
100平米 3000万円(単価:30万円/平米)の家だったら
どちらがお得(割安)だと思いますか?

そりゃー同じ値段だったら100平米の部屋が割安に決まっていますよね。

マンションでは広さあたりの値段を考えてみんな割安・割高を判断できると思います。
会社では利益をたくさん生み出す会社の方が株主に配当で還元してくれたり、倒産しにくいので、魅力的ですよね。
だから株式は企業が生み出す利益に基づいて株価の割高・割安を見ます。

次は本題である株式を考えてみよう。
毎年の利益100円、株価1000円(=利益×10倍)と毎年の利益200円、
株価1000円(=利益×5倍)の会社だったらどちらがお得(割安)だと思いますか?

マンションと同じように考えればいいから、株価が同じだったら利益200円の会社の方が割安ですよね
これをもっともらしい専門用語でいうと、利益の10倍の株価はPER10倍と言います。
利益の5倍の株価をPER5倍と言います。つまりPERが低いほど割安と言うことができます。
PERの推移
下表は主要国の過去15年間のPERのレンジと現在値を表しています。

米国株式は過去平均PER15.2倍に対し、現在値は22.1倍と割高を示す結果になっています。
米国以外でも欧州、新興国など多くの国・地域で過去最高水準のPERとなっています。
これが現在、株式が割高と言われている根拠の1つです。
注意点
指標を見るうえで1つ注意点があります。それは今後利益が増える見込みがある場合にはPERが高くなるということです。
例えば、利益100円、株価2000円だとPERは20倍ですが、景気拡大とともに利益が増加し、200円になった場合、
株価が2000円だとPERは10倍になります。PERを見る場合利益が今後どうなるかも気にする必要があります。
米国ではコロナワクチン普及による経済活動再開や、6兆ドル(日本の国家予算の6倍!!)もの大型投資を検討するなど、企業利益が増える要因も考えられます。
企業利益が増加すれば、PERの割高は解消されるかもしれません。そのため、PERが割高だと考えても私は全部売却など極端な投資行動はしないようにしています。毎月の給与からの追加投資を止めてキャッシュポジションを増やす程度しかしません。

3.ハイイールド債券の利回り

ハイイールド債券ってなんですか?

財務が悪く倒産確率の高い企業が発行する債券のことです。
下表の通り格付会社が会社の債券を評価していて、格付「BBB(トリプルB)」以下の債券は倒産確率が高いため、ハイイールド債券と呼ばれています。
日本企業の例だと東芝が発行する債券は「B」なので、ハイイールド債券ですね。
債券分類

一般的にハイイールド債券はリスクが高いため、投資家は投資を嫌煙します。
しかし、投資家は好景気に慣れてくると、株価暴落にやられた過去を忘れてリスクに鈍感になってきて、リスクの高いハイイールド債券などにも投資をし始めます。
購入者が多く人気が出てくると、利回りが低くても購入されるため、利回りは低下していきます。
当然、リスクが鈍感になっている投資家が多いと、株式を割高で買う投資家も当然多くいます。
つまり、ハイイールド債券の利回りが平均値よりも低いというのはそれだけ、リスクに鈍感な投資家が
増えていることを表しています。株式にも割高で投資している投資家が多いということです。
そのため、ハイイールド債券の利回りが平均値よりも低い時は株式は割高と判断しています。
米国ハイ・イールド債券利回り
直近値は4.1%と平均値5.8%よりも低いため、割高と考えられます。
ちなみにコロナが流行した時は利回りが10%近くまで上昇していました。その時は割安と判断して追加投資を少し増やしたため、パフォーマンスはかなり良くなりました。

4.M&A件数
景気拡大局面では企業は売り上げが増えていきますが、どこかで頭打ちになる時が来ます。
しかし経営者は株主から利益アップするようプレッシャーをかけられます。
そのような時にM&Aという選択肢が出てきます。
M&Aは企業価値評価をして価格を決めるのですが、期待が先行して過大評価となり、高すぎる投資になることが多々あるため、成功確率は4割弱と言われています。
それだけリスクが高いのですが、経営者は利益アップのプレッシャーもあり、実施することになります。
M&A取引金額

M&Aが増えてきた時には株式の割高を警戒します。
5.まとめ
繰り返しになりますが、私は短期的な未来は予測できないと考えている派ですので、割高・割安と判断しても極端な投資行動はとりません。割高の時は追加投資を控えたり、割安の時はキャッシュポジションを少し減らす程度です。それがメンタル面でも良く投資を続けられるポイントだと思っています。
今日はPER、ハイイールド債券利回り、M&A取引金額を活用した割高・割安の判断方法を紹介しました。これらの数字を見るだけでもなんとなく割高・割安を捉えられると思いますのでぜひ参考にしてみてください。
今日は紹介できませんでしたが、その他にも色々指標をチェックしていますので、また機会がありましたら紹介させていただきます。
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